今季もっとも印象に残った試合は?

--2015シーズンで、もっとも印象に残った試合をあげていただけますか?

前田敏勝 記者
前田第2節・大宮戦 です。これはパウロ・アウトゥオリ 前監督も認めていたところですし、このゲームを軸にチームを作れなかったんだろうか…という後悔も含めて。ネガティブになりますが、この試合をベストに上げざるを得ないというのが今年を象徴していたのかな、と。監督の色も出ていて、選手の個性も出ていました。結果も伴って、大一番にしっかり勝てて、とどめまで刺せて、今年はこういうゲームを目指していくんやな、と感じられたのになぁという気持ちも含めて選びました」
小田「僕も同じく第2節ですね。皮肉ですけど、この試合を超える試合はそのあと40試合やってもなかったのは、いろいろ象徴しているなと。それだけの戦力がいるという証明をしたにもかかわらず、そこからの積み上げがなかった。前田さんがおっしゃったとおり、追いつかれても2点目を取って勝って、昨年の空気を一掃してくれた。嫌な感じになったんだけど、新加入の玉さん(玉田圭司)のすばらしいFKで2点目を取って、今年は行く!というのが感じられて、さらに扇原(貴宏)選手のゴールもあった。これ以上ない出だしだったんですが、それを超える試合がついぞ見られなかったのが悔しいですね」

玉田選手が2ゴール、扇原選手がダメを押した大宮戦。誰もが、「今年は行ける」と確信したのだが…。

和田「私も第2節と言おうと思ったのですが、あえて最終節 です。やっと心がひとつになったというところで。2得点はセットプレーからで、セレッソらしい流れからのゴールではなかったですが、サッカーってやっぱり気持ちが大切やな、やっとチームになったよなと感じました。それまでは誰かがイライラしたりというのがあったのが、みんなが同じ方向を向けたのがこの試合とJ1昇格プレーオフだったのでは。この試合に勝ったことで、プレーオフが素敵な試合になったと思います。J2は同じ方向を向いていないと絶対に勝てないし、乗り切れないんです。第2節と最終節とどちらにしようか迷いましたが、セレッソらしくて大好きな第2節ではなく、絶対にこの試合に勝っていい雰囲気でプレーオフにいこうや、とクラブも選手もサポーターも全員が同じ方向を向けたということで」
小田「点を決めたモニさん(茂庭照幸)がベンチメンバーの中に飛び込んで行ってね!」
和田「一直線に走っていきましたよね。あれはたまらんかったです!!」

今季もっとも印象に残った選手は?

--では、MIP(もっとも印象的だった選手)を上げていただけますか?

和田りつ子 記者
和田「悩みましたが、42試合出場を続けた山下達也選手 です。こんなチーム状況で、焦れずにやり続けた。2人の監督に信頼されて、選手同士の上と下をつなぐ役割というのも、練習からポイントを押さえてされていました。丸橋(祐介 )選手と迷ったんですが…山下選手が来年もセレッソにいてくれるなら、真のキャプテンシー、セレッソ魂を伝えられる選手になってくれるのでは」

紆余曲折あったシーズンのなかで、山下選手の42試合出場は賞賛に値する。苦悩した2015年の経験を、ぜひ未来につなげてほしい。

小田尚史 記者
小田「僕は関口(訓充)選手 と玉さんのどちらかと思いましたが、玉田選手 で。大宮戦の2得点もあるし、プレーオフ決勝前もメディアに対して『俺が決めて終わる』『J1に上げるために来た』『最初と最後は俺で終わる』と言って、有言実行した。本当にかっこよかったですし、実際出場した25試合で勝点47取っています。出ていない17試合では勝点20ですから、やっぱり存在は大きかったです。点を取った試合は6勝2分で負けていないですし。この人をもう少しうまく使ってくれたらなあ…と思ってしまいますね」
和田「もっと取れましたよね」
小田「これだけの実績がありながら、試合に出られないときも耐えて、またプレーオフに向けて気持ちを持ってきているというところも含めて。悔しさが出ちゃうときもあったとは思うんですけどね。いろいろなものをチームにもたらしてくれました」
前田「僕は、染谷(悠太)選手 を上げさせてもらいたいです。個々の選手を見て、この1年で一番場数を踏んで、飛躍、奮闘していたなと思う選手です。監督の言うことも理解して、本人らしいカバーやビルドアップという持ち味も出しつつ、アウェイの磐田戦では体を張り続けてジェイを抑えたり、泥くさい面も昨年以上に持ち味として出せるようになりました。センターバックの選手ってなかなか報われないことが多い中で、ケガをするまで出続けていた染谷選手を押したいと思います」

Vol.9に続く 
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【出席いただいた皆さん】
前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」セレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍中。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー!の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム、アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2015年12月15日実施