マイセレのオフ恒例の「番記者座談会」もいよいよ終盤。
vol.5では、トップチームを少し離れて、「クラブ」としても成長した2017シーズンを振り返ります!!
出席いただいた3記者profile 
「2017番記者座談会」バックナンバー 

意義を感じたU-23、レディース&ガールズも見事目標を達成!

--2年目のJ3リーグを戦ったセレッソ大阪U-23についてはいかがでしたか?
小田 チームとしては、選手の入れ替わりもあって序盤は苦しみました。秋山大地選手、木本恭生選手がトップチームに上がって、また一からというところがあったんですが、8月の中断明けからはトップチームのサッカーのいいところを取り入れながら、プレッシングという良さも出したいというところも見られました。そのなかで、斧澤隼輝選手、西本雅崇選手らトップに絡む選手もどんどん出てきました。そして、小林洵選手がすばらしかった!サプライズでしたね。トップに昇格はしなかったのですが、J3最終戦(FC東京U-23)の試合後に、『大学を経て戻ってこられたら、またセレッソでやりたい』と話していました。あと、目立ったのは米澤令衣選手。山口への期限付き移籍から帰ってきて、昨年までとはまた違う落ち着きが見られて、得点も増えました。2018年はトップに絡んできてほしいです。

期限付き移籍を経て、得点力が増した米澤令衣選手。2018年はトップで見たい選手の1人

前田
 最初はなかなか試合形式の練習が組めないなど、難しいモチベーションのなかでの活動になりました。U-23の選手たちの目的はトップでプレーすることなので、なかなか上がっていけないもどかしさはあったと思いますが、今年はルヴァンカップがあって、斧澤、西本、岸本武流選手はそこで使われたことで上を目指そうというモチベーションも上がってきたと思います。チームとしての戦い方、組織というものをはっきりさせたJ3後半戦は、いい意味でのアカデミニズムというものを発揮して、他のチームは年齢制限がないJ3の中でもまったく引けを取っていなかったです。U-23チームはまず個人の育成というものが一番の目的なので難しい立ち位置だとは思うんですが、そういうものがありつつ、組織を伸ばす、個人を伸ばすという点で2年目のU-23を見て意義を感じました。その中で目を引いた選手は、特に後半戦のアン ジュンス選手。将来を嘱望される若い韓国代表のGKで、最初はケガもあってなかなか出られなかったのですが、DAZNのトップ5セーブに何度も選ばれました。キム ジンヒョン選手がセレッソに入ってきたときを見ているような印象で、楽しみな逸材だと思います。そういう選手をどんどんU-23から輩出できるような流れを作ってほしいです。
アン ジュンス選手は、2018シーズンは鹿児島ユナイテッドFCに期限付き移籍。
小田 ジュンス選手は、もう日本語も話せますからね。3月頃はまたまだという感じでしたが、リーグ戦終盤にはもう日本語で指示を出していました。

チームとしても選手個々としても成長が感じられたセレッソ大阪U-23。写真は、首位・秋田を撃破した第31節の先発メンバー

和田 逆にU-23に入ってくるベテラン勢は大変だったと思うんですけど、でも若い選手たちはすごく刺激をもらって頑張れたと思います。メンバーが安定しない中で、本来のポジションではないところに若い選手やU-18の選手が入ることもあるのですが、そういうユーティリティーさというのもU-23で得る経験なのかなと思います。私も中断期間明けからの戦いぶりは違うな、と思いました。誰が出ても「俺たちのサッカーはコレ!」というのを示せて、上位チーム相手にも力を見せることができました。
小田 シーズン終盤の第31節 で、優勝した秋田に3-0で完勝しましたからね。
和田 あれはよかったですよね!U-23の意味、みたいなものを感じられました。
小田 森下怜哉選手は全試合出ましたしね、キャプテンマークを巻いて。シーズン終盤にはトップの紅白戦にも出るようになりましたが、もの怖じせず堂々としていました。


チーム一丸、入替戦を勝ち抜いてなでしこ1部昇格を勝ち取ったセレッソ大阪堺レディース

--2017年は、女子チームも頑張りました。
和田 レディースがなでしこリーグ1部に、ガールズはチャレンジリーグにW昇格です。レディースは、夏のなでしこリーグカップ2部で優勝して、タイトルも獲りました。
小田 すばらしいですね!
和田 選手たちは最初から上がる気満々でしたからね。レディースもガールズも本当によく頑張りました。レディースは5年目でリーグ1部に、ガールズもチャレンジリーグに参入なんて、もう考えられないくらいにすごいことなんですよ。レディースは入替戦に勝っての昇格でしたが、1部のちふれASエルフェン埼玉に対して、体の大きさでは負けていても、それ以上に負けないものがありましたね。

いよいよ国内トップリーグへ戦いの場を移すレディース。さらなる成長目指し、挑戦は続く!

小田 印象に残っているのは、堂々とプレーしているというか、落ちついてボールを止めて、蹴っている。うまい選手が多いし、バタバタせずにどっしりしている。あの若さで大人相手に戦えるのはすごいです。
和田 90分のゲームも、問題なく戦い抜けるようになり、今年はウィークポイントが少なくなりました。セットプレーにも強くなり、守れるようになったし、逆に点も取れるようになりました。スーパーなゴールも今年はたくさん見ました。アンダー世代の女子日本代表にたくさんの選手が選ばれているのも大きいです。

ガールズもチャレンジリーグ参入を決めた。育成のスピードはさらに加速するはずだ

--今後は、さらに上、なでしこジャパンにも入っていきたいところです。
和田 そのためには、なでしこ1部に上がって勝っていく、ということが必要になってくるかもしれません。個としてはセレッソの選手のほうが力はあると思うんですが、戦いというところでは『まだ2部でしょう?』という見られ方をしてきたと思うので…。
小田 2018年は、リーグ戦でなでしこジャパンの選手たちとも対戦するわけですからね。
和田 女子ワールドカップの予選が始まるので、ぜひメンバーに食い込んでほしいです。
小田 女子も若い選手が入っていく過渡期ではありますから、期待したいです。
和田 トップチームの尹晶煥監督もすばらしかったですが、レディースの竹花友也監督の手腕もすばらしかった。選手交代も的中していましたし、いい選手をたくさん育てました。先発の11人だけじゃなく、18人、20人と育ててくださったと思います。

vol.6に続く


【セレッソ番の3記者】
前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」のセレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍を続けている。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー! の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム・アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。チーム愛に満ちた熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2017年12月23日実施