オフ企画「2015年選手別レビュー」では、セレッソ番の3記者が、今季の活躍ぶりや日々の取材の中で印象的だったことなどを、選手ごとに振り返ります。


 山口蛍の2015年

 昨季負った右膝外側半月板損傷から復帰して臨んだ今季。シーズン前半は4-3-3のアンカーとしてチームを支えた。中盤に生まれるスペースのカバーに奔走し、後方からのサイドチェンジや縦パスでも貢献。持ち味の1つである攻撃参加の回数は限られたが、「監督がこのポジションに自分を置いているのにも意味がある」とチームプレーに徹した。また、「ディエゴを生かせなかったのは自分たちにも責任がある」と昨季終了後に抱いた悔いを晴らすべく、フォルランの動き出しに積極的に合わせるプレーも目立った。セレッソを離れる前、「蛍と一緒にプレーできてよかった」とフォルランも話していた。
 今季は、FIFAワールドカップ予選を戦う日本代表とJ2リーグの往復という自身初の経験も。タフな1年となったが、代表から戻るやいなやチーム練習に合流するなど、背中でチームを引っ張り続けた。監督、選手からの信頼も厚かった山口。「セレッソのために」走り続けた魂は、チームに受け継がれていく。

 ライターからひとこと

 彼がトップチームに昇格した2009年、筆者もセレッソ担当になった。プロ入り時の壁からロンドンオリンピックのU-23日本代表での飛躍、FIFAワールドカップ・ブラジル大会出場に至るまで、その成長を間近で取材することができた。冷静な自己分析とともにストイックな姿勢でサッカーに取り組み続けてきたからこそ、日本代表に常時選ばれる存在に成長を遂げたのだと思う。ブンデスリーガで切磋琢磨することで、選手としてさらに大きくなってほしい。そして、いつの日かまたセレッソで!

文・小田尚史

山口蛍選手 ハノーファー96へ移籍合意のお知らせ 
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