自分が活躍して、
セレッソをJ1へ

 昨シーズン、川崎フロンターレに完全移籍した。U-15から約10年間在籍したセレッソを離れる決断は、本人にとっても、周りの人たちにとっても重く、大きなものだった。
 そして1年後の今、再びセレッソへ。フロンターレでの経験、復帰を決意した理由、セレッソに対する思い…杉本健勇が心中を語る。
Vol.14【前編】よりつづく


■J1昇格プレーオフの決勝・福岡戦に引き分けたときに、セレッソ復帰を決めたというのは、どういう気持ちだったのでしょうか?
「セレッソがJ1に上がったら、あのとき勝って昇格が決まっていたら、僕が戻ってくるという選択肢はまったくなかったです。 (川崎に)残って頑張ろうと思っていました。もし、ここで勝てなくてJ2のままなら…もちろん、セレッソには上がってほしいという気持ちが一番でしたけど、もし上がれなかったら、自分が戻ってJ1に上げたい、と。だから、複雑な気持ちでしたね。先制点が入ったときは、ホントにうれしかったです、応援していたので。試合が終わったときは、残念だし悔しいけど、『僕、セレッソに戻れるんや』って。戻れるという言い方はおかしいですけど、戻ってJ1に上げたいという気持ちが一瞬で芽生えました」

■自分の力で、セレッソをJ1に上げたいと?
「はい、それが一番大きかったです。セレッソはJ2にいるべきチームではないですし、J2にいるセレッソを見るのは、やっぱりつらかったです。あとは、試合に出てナンボだ、という思いがさらに強くなりました。去年、ハリル(・ホジッチ日本代表)監督に呼んでもらって、まだ候補ですけど、また選ばれたいし、この前も(日本代表の)ミーティングに行ったりするなかで、いろいろ考えたこともあります。選ばれたいという気持ちは前よりも強くなりましたし、今年、ここ(セレッソ)で活躍して日本代表に、という思いがあります」

■帰ってくるという決断は、ある意味で勇気のいることだったのではないですか?
「それは…そうですね。『よく帰って来た』と言ってくださる人もいますが、ファン・サポーターの人たちには、いろいろな思いがあると思います。僕が今まで爆発的にセレッソで活躍して、という感じならまた違うんですけど、出て行き方も出て行き方でしたし、『戻ったらどうなるんかな』とも考えました。それは今年、自分が活躍して、J1に上がることができたらわかってもらえるかなと思っています。でも、『お帰り』と言って応援してくれる人もいるので、そういう人たちの気持ちを大事にして頑張らないとアカンな、とすごく思います」

■セレッソで今年自分に求められているプレー、こういうプレーでポジションを勝ち取りたいというものはありますか?
「細かいことを言えばいろいろあるんですけど、大きく言えば、まずチームのために全力を尽くしてプレーするというところと、あとは数字にこだわるというところです。数字にこだわっていない選手なんていないと思いますけど、しっかり、チームのなかで決定的な仕事をしたい。大熊監督のサッカーは、全員で守備をして全員で攻撃をするというのを大事にしていると思うので、攻守において走り続けるということ。それを、僕を含めた選手一人ひとりができれば、絶対に上がれるチームだと思います」

■数字にこだわるというと、具体的には?
「ゴールもそうですし、アシストもそうです。自分の中で何点とかいうのは決めていないですが、取れるだけ取りたいです。得点王ですか?それぐらいの気持ちでやらないと、ダメだと思います」

■J2はJ1とは違う難しさがあると言われます。J2で戦う、ということについては?
「サッカーや戦い方は、J1とは違うチームが多いです。僕も東京ヴェルディで4年前に1度J2を経験していますが、やっぱりJ1とは全然違いました。そのときよりもJ2のレベルは上がっているので、簡単な試合はまず1試合もないと思います。去年を見ていても、1点取るのに苦しんでいるというか、爆発的にボンボンと取っているイメージがなかったです。先に点を取れれば、今年は乗れるというか、試合のリズムをつかめるのでは、という気がしています。そこは大事にしたいです。今年は、絶対みんな点を取れると思うので、あとは守備、どう守るのかというところです。それは今から監督を含めてやっていくと思いますけど。J2は蹴ってくるチームも、ガツガツくるチームも多いですし、セレッソに対しては気合いを入れて向かってくると思います。それに負けないようにしないといけないです」

構成・文 横井素子
インタビュー:1月21日