5月17日(日)2015明治安田生命J2リーグ第14節
セレッソ大阪 vs V・ファーレン長崎 (15:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 V・ファーレン長崎は、13節を終えて6勝4分3敗で勝点22。セレッソ大阪とは勝点1差で、順位は1つ上の6位だ。高木琢也監督が率いて3年目のシーズンになるが、これまでの2年間とチームの目指すサッカーに大きな変化はない。前から激しいプレスをかけるアグレッシブなサッカーを身上としており、被シュート数や失点数が少なく、大きく崩れることがないのが特長だ。

 ただ、今季の長崎に加わった、これまでにはなかった新たな特長を挙げるとするならば、「高さ」「若さ」「技術」になる。3-4-2-1のシステムの中でシャドーに入ることの多い梶川諒太や東浩史などを除けばほとんどの選手が180cm以上。今季はセットプレーから点が取れるようになり、ここまでの全18得点のうち6点がリスタートからになる。ただし、身長のわりにはセットプレーから失点することが多いことが課題だ。
 また、ボランチに花井聖、シャドーに梶川などが加わったことで、時間帯や状況に応じてはボールを繋ぐという攻撃も使い分ける「技術」も得た(セレッソ相手には、なかなか出すことができないかもしれないが)。

 第9~13節までのゴールデンウィーク中の5連戦は1勝2分2敗。結果のみを見るとあまりいい成績ではないのだが、監督や選手らに焦りはない。長崎はこの5試合で合計23選手をピッチに送り込んだ。先発が入れ替わったとしても自分たちのサッカーができたということへの満足度は高い。今後のことを考えれば、財産になった5連戦だったと言えるはずだ。昨季の長崎はケガ人の多さに泣かされたため、今季は練習でそれほど高い負荷をかけず、開幕前から選手のコンディション維持に細心の注意を払ってきた。その成果がゴールデンウィークの過密日程で試されたとも言える。

 さて、セレッソ戦でで最も注目すべき選手は、かつてセレッソに所属していた黒木聖仁になるだろう。長崎では守備的ボランチとしてレギュラーに定着。中盤の狩人としてセカンドボールを拾いまくっている。
 黒木は宮崎県出身だが、宮崎・日章学園高校卒業後にセレッソ入り。2008~2013年まで6年間を大阪で過ごし、昨年は長崎に期限付き移籍。今年は完全移籍で長崎でプレーする。
大阪は「第2の故郷」だと言うが、最初はセレッソ戦について「特に意識していない」と言っていた黒木。しかし、質問を重ねると秘めていた想いが決壊したかのように出てきた。
「18~23歳の多感な時代を過ごしましたから。セレッソとの試合は、みんなが思う以上に自分にとっては特別な試合です。セレッソでは出場機会に恵まれなかった時期も長かったのですが、いつも立ちたい立ちたいと思っていたキンチョウスタジアムのピッチに対戦相手として帰る。すごく変な感じです。でも、絶対にいいプレーをしたい。お世話になった方、たくさんの方に『あいつ、成長したな』と思われないといけないですから。
それに、セレッソの選手とやるからには負けられない。誰に? みんなに、ですね。あのスタジアムでセレッソと試合をやるのって、もしかしたら最初で最後かもしれない。そう考えると燃えますね」

 長崎で黒木が得たのは激しいプレー。「セレッソのサポーターに、自分が長崎で掴んだ戦う姿勢を見てほしい。あと、ボールもワンタッチでさばくことが多くなった。これも、長崎に来てから変わったことですね」と黒木。『凱旋試合』でセレッソへの強い想いをプレーで表すことができれば、黒木にとっても長崎にとってもよい結果が待っているに違いない。

文・植木修平

プレビュー:絶対に落とせないホームゲーム。難敵、長崎と対戦。我慢強く勝利を目指す