7月4日(土)2015明治安田生命J2リーグ第21節
セレッソ大阪 vs 大分トリニータ (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 11試合未勝利の大分は、暗いトンネルの中を抜け出せずにいる。監督交代により「変化」を選んだクラブは、後任監督にこれまで監督代行として指揮していた柳田伸明強化育成部長を昇格させた。

 前体制を踏襲した柳田監督がメスを入れたのは、「サッカーの本質をしっかりやる」ということだった。本質とは、「攻守の切り替えを早くする」「球際で負けない」「相手より運動量で勝つ」「戦う姿勢」といった、戦術以前に欠かせないもののこと。

 新体制となり一戦一戦、目の前の試合に集中し勝利を目指したが、結果は出ていない(3分1敗)。ただ、チームの雰囲気、選手の意識は変わった。戦局、場面に応じてポジショニングや体の向きなど細かく落とし込んだ前任者に対し、柳田監督は「攻守の切り替え」を絶対的な基軸とするものの、ほかはある程度の自由を与えている。決まりごとに縛られていた感のあるチームは、ミスを恐れずガムシャラに前に出て戦う姿勢を身につけた。

 今節は中4日(大分は前節が月曜日開催の札幌戦)での試合で疲労の蓄積などが気になるが、柳田監督は「これまで出場機会が少なかった選手にとってはチャンスなので、前向きに捉えたい」と、紅白戦ではメンバーを入れ替え、組み合わせを摸索した。

 正GKとして最後の砦となっている武田洋平(2013年にセレッソ大阪に在籍)は、ひそかな闘志を燃やしているひとりだ。「セレッソは個々の選手の能力が高いが、失点を抑えれば勝機はある」と語り、2007~08年をセレッソで過ごした阪田章裕も「個人的には思い入れのあるチームなんで、試合に出たらアグレッシブにミスを恐れずにプレーしたい」と古巣の対戦を楽しみにしている。

 連敗の脱出法はケースバイケース。連敗しないチーム作りとなると、常識的には守備をしっかりさせることだろう。野球も投手を中心とした守備力が常勝の王道である。しかし、守るサッカーには限界がある。それは柳田監督も重々承知だ。攻め切る力を養うことが勝つための最善の方法だと思っている。最後にモノをいうのは点をもぎ取る力である。

 リーグ屈指の攻撃力を誇るセレッソに真っ向勝負を挑むつもりだ。前節ではムードメーカーの三平和司が今季初ゴールを決め、これまでにはない明るい雰囲気がチームに漂っている。前線の選手だけでなく後方の選手までもが「自分が点を決めて流れを変えたい」と攻撃的姿勢を示している。リーグ前半戦の最後の試合で積極的にゴールを目指し、7月攻勢に弾みをつけたいところだ。
 
文・柚野真也