6月28日(日)2015明治安田生命J2リーグ第20節
栃木SC 0-3 セレッソ大阪 (18:03/栃木グ/7,077人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第20節。セレッソ大阪は、アウェイで栃木SCを相手に3-0で勝利した。攻撃で第13節・ギラヴァンツ北九州戦以来となる複数得点を挙げれば、守備でも2試合連続の完封。攻守において、チーム力の高まりを感じさせる内容での完勝だった。

 栃木がさほど前からプレスをかけてこなかったこともあり、セレッソは前半からストレスなくボールを回すと、パスワークのスピードを高め、中央でコンビプレーからゴールに迫れば、サイドでも高い位置を取った丸橋祐介が積極的に絡むなど、「幅と深さ」(パウロ・アウトゥオリ監督)を使った攻撃で栃木を押し込む。セレッソはボールを失った際の守備への切り替えも早く、栃木の狙いとするカウンターの芽を摘んだ。
 得点こそ奪うことはできなかったが、主導権を握って前半を折り返すと、後半、すぐに歓喜の瞬間はやって来た。52分、玉田圭司の精度の高いFKから、ゾーンで守る栃木の守備の隙を突いてパブロが頭で合わせ、セレッソが先制に成功した。

 前節、前々節と同様、先制後の試合運びが試される展開となる中、得点後の数分間は栃木の猛攻を受けてしまう。この時間帯ですばらしい活躍を見せたのが染谷悠太。カウンターからあわやGKとの1対1を作られかけた58分には、相手FWに鋭くタックル。決定機を未然に防いだ。その後もクリアをつなげず、栃木の2次攻撃、3次攻撃を受けたセレッソだが、64分に待望の2点目が生まれる。
 右サイドで玉田が溜めを作ってヒールで扇原貴宏へ落とすと、そこから扇原、パブロ、山口蛍とつなぎ、山口が左サイドの丸橋へ。丸橋は相手DFとの1対1で抜き去り、落ち着いて中へパスを送ると山口がスルー。「1点目を奪って肩の力を抜くことができた」と語るパブロがワントラップから冷静にシュートをゴールに流し込んだ。「これまでは先制しても追加点が取れなかったので、2点目は大きかった」と試合後に玉田も語る、セレッソにとっては貴重な追加点となった。

 2失点で意気消沈した相手を尻目に、78分、セレッソはキム ジンヒョンのゴールキックをパブロが胸で落とし、長谷川アーリアジャスール、扇原とつなぎ、扇原のスルーパスに抜け出した玉田がGKとの1対1を沈めて勝負を決めた。玉田にとっては、この得点が自身Jリーグ通算100点目のメモリアルゴールとなった。終盤は再び栃木の猛攻に合う時間帯もあったが、無失点で逃げ切ったセレッソ。1-0で勝利した前節・徳島ヴォルティス戦からの継続と進化を目指して迎えた一戦で、「間違いなく一歩前進した」(アウトゥオリ監督)内容の試合を演じてみせた。

「3点取れたことは良かったけど、バタバタした時間もあった。そういうところをなくしていければ、もっと試合運びは良くなっていく」。勝って兜の緒を締めよとキャプテンの山口が高い意識を口にするなど、さらなる盤石な試合運びを目指す余地は残されているが、「正しい道のりを歩みながら、プロセスをしっかりと経ていることに、手応えを感じている」とアウトゥオリ監督は試合後の会見で胸を張った。セレッソが今季2度目の連勝を果たし、試合終了時点で、29日に行われるコンサドーレ札幌の試合を残して暫定ながらも4位に浮上した。

文・小田尚史

試合後のパウロ・アウトゥオリ監督(セレッソ)記者会見コメント
試合後のセレッソ選手コメント