4月26日(水)JリーグYBCルヴァンカップ第3節
サガン鳥栖 4-4 セレッソ大阪 (19:04/ベアスタ/7,849人)
試合写真・コメントなど
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 セレッソ大阪の監督に就任後、初めて尹晶煥監督が古巣・サガン鳥栖のホームに乗り込んだ一戦は、春の嵐を思わせる激しい打ち合いとなった。

 直近のリーグ戦、第8節のヴァンフォーレ甲府戦 からGKキム ジンヒョンを除く10人を入れ替えてルヴァンカップ第3節に臨んだセレッソは、6分、敵陣中央で鳥栖の高橋義希が最終ラインに送ったバックパスをカットしたリカルド サントスがGKとの1対1に持ち込むと、落ち着いたループシュートでネットを揺らした。相手のミスに乗じて幸先良く先制に成功したセレッソだが、24分、相手GKのキックからセカンドボールを拾われると、小野裕二のクロスにDFラインが処理にもたついた隙を鎌田大地に突かれ、同点に追いつかれた。
 37分には、左右に揺さぶられ、左サイドからのクロスに舩木翔が富山貴光に競り負け、失点。逆転を許した。すると、41分には再び左サイドからのクロスにDFのクリアが不完全になったところを拾われ、高橋に豪快なシュートを決められた。わずか17分で3失点と守備が決壊したセレッソだが、44分、相手のパスミスを起点としたカウンターから、清武弘嗣のクロスに水沼宏太がうまく合わせる技ありゴールで1点差に迫り、前半を折り返した。

 前半は簡単にサイドにボールを運ばれ、クロスから守勢に回る展開となったセレッソだが、後半に入ると一転、ボールを握り攻勢に転じる。48分、後方からのフィードをリカルド サントスが胸で落とし、木本恭生がボレーシュートを放つ。これはわずかに枠を捉えることができなかったが、61分、清武のCKを相手GKが弾いたこぼれ球を水沼がダイレクトでシュート。このシュートがゴール左隅に吸い込まれ、セレッソが試合を振り出しに戻した。
 2点差を追いついたセレッソだが、同点弾から7分後の68分。鎌田にニアサイドを射抜かれるシュートを決められ、再びリードを許す。それでもあきらめないセレッソは、75分、清武が水沼とリカルド サントスとのワンツーでゴール前に進入すると、鳥栖DFのクリアの先にいた田中裕介がダイレクトでシュート。これが見事にネットに突き刺さり、セレッソが再度、同点に追いついた。

 その後、試合終盤は運動量で勝るセレッソが鳥栖を圧倒。83分には木本が、90分には途中出場の福満隆貴がゴールに迫ると、後半アディショナルタイムには清武がペナルティエリア左から際どいループシュートを放つ。決まったかに思われたシュートだったが、GKに弾かれポストを叩き、惜しくもゴールならず。結局、試合はこのまま4-4で終了した。

 手堅い守備をベースにここまでのシーズンを戦ってきたセレッソにとって、4失点は想定外でもあったが、「難しい展開の中、選手たちは最後まで頑張って走ってくれた」と尹晶煥監督は選手たちを労った。試合後は苦笑いでミックスゾーンに現れたGKキム ジンヒョンも、失点以上の好守でチームを助けた。失点に関与した庄司朋乃也や舩木には、この苦い経験を糧にさらなる成長を遂げてほしい。
 課題が残った一方で、収穫もあった。試合前、「90分は難しいだろう」と尹晶煥監督が話していた清武は、先発フル出場で3得点に絡む活躍。セレッソ復帰後初アシストだけではなく、3点目、4点目の起点にもなり、改めて攻撃能力の高さを示した。古巣戦となった水沼も、移籍後初得点を含む2得点。引き分けという結果に試合後に笑顔はなかったが、どちらもファインゴールであり、存在感を大いに示した。ラスト10分間の展開を考えると、欲を言えば5点目を奪って勝ち切りたかったが、2度のビハインドを追いついての勝点1は、「この先、プラスになる」(尹晶煥監督)。
 試合後、尹晶煥監督が水沼を呼んでスタジアムを1周すると、鳥栖サポーターからは大きな歓声が2人に送られた。尹晶煥監督にとっても心に残る特別な一戦を戦い終えたセレッソは、次節、中3日でリーグ戦の第9節・川崎フロンターレ戦(4/30・日・ヤンマー)へ挑む。

文・小田尚史