6月14日(日)2015明治安田生命J2リーグ第18節
水戸ホーリーホック vs セレッソ大阪 (13:00KICK OFF/Ksスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 1-0で勝利した前節の愛媛FC戦。ほぼ完ぺきな内容で折り返した前半を終え、隣で見ていた旧知の記者と、「いい時のセレッソのサッカーが見られましたね」といった会話をかわした。この試合、セレッソ大阪は、攻撃では近い距離でのパス交換やテンポある崩しで相手を翻弄すれば、守備でも切り替え早く、奪われた瞬間にプレスをかけて愛媛に隙を与えず、前半の被シュート数をゼロに抑えた。

 振り返れば、“1トップ2シャドー”や“3シャドー”といった、2列目に攻撃的な選手を並べてJリーグの中でも異彩を放っていたレヴィー・クルピ元監督の時代も、香川真司(ドルトムント)や乾貴士(フランクフルト)、清武弘嗣(ハノーファー)や倉田秋(ガンバ大阪)といった選手たちは守備でも汗をかき、組織として機能させていた。攻撃面では自由を強調したクルピ監督も、「失った後の切り替え」に関しては口を酸っぱくして彼らに求めていた。技術ある選手たちが伸び伸びプレーしていた裏では、そういった厳格さもあった。

 話を戻すと、愛媛戦の試合後に、玉田圭司、茂庭照幸といった経験豊富な2人が発したコメントは、今後セレッソが躍進していく上での示唆に富んでいた。前半に見られた、お互いの良い距離感でのパス交換や攻撃について問われた玉田は、「それが自分たちや僕の特長でもあるし、そういう攻撃が増えていけば、より自分もプレーしやすくなる。チームとしても機能していくと思います」と話した。本来、セレッソが持つ小気味よい崩しが発揮されたことは、今後への明るい材料だ。さらには、酒本憲幸が何度も高い位置でボールを持つなど、今季取り組んでいる幅を使った攻撃が機能していたことも付け加えておきたい。
 また、セレッソの長所も課題も知り尽くす茂庭は、愛媛戦を評して、「本来、チームが持っているクオリティーと、個人が持っているクオリティーを、シンプルに出せたという感じ」だと語った。言い換えれば、チームや個人が持っているクオリティーをしっかり出すことができれば、簡単には負けないということだ。

 今週の練習は活気がみなぎった。それぞれが互いに要求し合い、自分たちが持っているクオリティーを高め合う姿勢が見て取れた。「今はチームとしても一つの方向に向かってやれている」とは扇原貴宏。ただし、選手は口々に「(良い雰囲気を)結果につなげていくことが大事」(玉田)だと声を揃える。今節は、山口蛍とキム ジンヒョンの2 人が代表招集で不在であり、負傷離脱している選手もまだまだ多いが、「チームが一つになって戦うこと」(楠神順平)ができれば、勝利を掴むこともできる。

 もちろん、サッカーは相手があるスポーツ。今節の対戦相手である水戸ホーリーホックは、相手チーム情報 にもある通り、前節終了後に柱谷哲二監督が解任された。チーム全体、そして選手個々が気持ちを入れて臨んでくることは必至であり、激しい試合になることは避けられない。それでも、セレッソも「今週は本当にいい練習ができた。勝負をかけて戦うことが何なのかということを、選手たちも理解してきた」とパウロ・アウトゥオリ監督は話す。今週は11日と12日の練習開始を試合当日と同じ13時に設定し、暑さに対応する工夫も施した。苦しんだ5月を終えて、反攻の6月へ。前節、掴んだ反撃の機運を加速させていくためにも、今節も勝点3に強くこだわった戦いが期待される。

文・小田尚史

試合前日の監督・選手コメント
相手チーム情報:監督解任に揺れる水戸。再び一丸となって前進するために重要な一戦