9月20日(日)2015明治安田生命J2リーグ第32節
大宮アルディージャ - セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/熊谷陸)
試合写真・コメントなど チケット
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 今季のJ1昇格の本命と目された大宮アルディージャとセレッソ大阪。両者はJ2第2節 で早速、対戦。この時は、セレッソがホームで3-1と勝利した。玉田圭司の移籍後初得点を含む2得点に加え、扇原貴宏のロングシュートが決まり、ヤンマースタジアム長居が歓喜に包まれた。しかし、その後の両チームの歩みは対照的だった。大宮が連勝街道をひた走り、現在、勝点68で首位を独走しているのに対して、セレッソは春に2度の連敗を喫するなど、一時は9位まで順位を落とした。それでも、セレッソも6月以降は徐々に調子を上げ、前節はついに今季初の3連勝を達成。攻守のバランスが整い、組織として機能し始め、戦力に見合う結果が付いてきた。

 それでも、3連勝の相手はFC岐阜、大分トリニータ、栃木SCといずれも下位。もちろん、どの相手もリスペクトすべき対象であることに変わりはなく、この時期は下位に位置するチームが降格を免れんと力を発揮することは往々にしてある。いずれも簡単な相手でなかったことは確かだが、あくまでJ2残留争い中のチームだった。ゆえに、3連勝にもチームに気の緩みは見られず、今節を前にして、パウロ・アウトゥオリ監督も、「(首位相手にも)勝ち切れるチームであることを証明したい。強いチームになった、ということを見せる試合にしたい。前節の1試合だけではなく、次の試合でも見せてこそ、本当の安定感だと言える」と引き締める。今季の大きなテーマである「波を作らない戦い」(アウトゥオリ監督)に挑む今節は、セレッソにとって昇格を果たす上で、「挑戦」(アウトゥオリ監督)の一戦となる。

 前節の栃木戦 、セレッソは第5節・ジェフユナイテッド千葉戦 以来となる4得点を挙げた。裏に抜け出す形あり、サイドからのクロスに合わせる形あり、中央を崩す形ありと、攻撃のバリエーションという意味では評価のできる4得点だった。今季の攻撃のコンセプトである、サイドで揺さぶる形からピッチを幅広く使って、決定機を何度も生み出した。前線で田代有三がキープして時間を作ることで、サイドバックの攻撃参加も可能になり、両サイドMFの関口訓充とパブロも、起点として豊富な運動量と技術で変化を付ける。ここに来て、ボランチ山口蛍の攻撃参加も目立つようになってきた。そういった連動性の高い攻撃が、首位の大宮相手にも通用するか。今節の大きな見どころとなる。

 もちろん、攻撃のみならず、守備でも試される。冒頭で述べた第2節、大宮はケガでムルジャと家長昭博を欠いていた。2010年に桜色のユニフォームを着て輝きを放った家長に仕事をさせないことが、今節は大きなカギとなる。また、かつてセレッソも獲得に乗り出していた阪南大学出身の泉澤仁の突破は脅威であり、こちらも元セレッソの播戸竜二も虎視眈々とゴールを狙っている。前線に個性ある選手がズラリとそろうのが大宮である。「大宮は得点力がある。守備陣がしっかり抑えることが勝利には必要。(第26節)ジュビロ磐田戦 のような、集中力を持った守備が必要になる」と話す山下達也は、我慢の時間が増えることも念頭に置く。前節は好セーブ連発で勝利に貢献したGK丹野研太も、「誰がスタメンかわからないけど、誰が出ても違う個性があるので、隙を見せないように、相手に力を発揮させないように守りたい」と話す。大宮の攻撃陣で付け加えれば、元川崎フロンターレのレナトにも似たボールの持ち方をするマテウスが、前節でJデビューを飾っている。今節もどこかのタイミングで出場してくれば、警戒したい。

 世間はシルバーウィークだが、J2は今節から中2日、中3日と続く3連戦となる。今季最後の連戦だ。どこかに痛みを抱えながら戦っている選手はどのクラブにもいるはずで、まさに総力戦の様相を呈する。3試合の結果いかんでは、順位も大きく動くだけに、今季の命運を左右する3連戦だと言える。まずは、その初戦。ここ3試合勝利なしで、この試合をリーグ終盤へのリスタートとすべく強い気持ちで向かってくる大宮相手に、セレッソは自動昇格につながる大きな1勝を、チーム全体で掴み取りに行く。

文・小田尚史

試合前日の監督・選手コメント
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